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江戸時代の青「くらわんか」 [日常雑記]

西御門サローネで骨董市を企画したいと思っていて、その関係で最近骨董市を見て歩くことが多い。
骨董好きというわけでもないが、欲しいものが見つかってしまうのが困ったものだ。
時を経て風合いが出たもの、100年以上前から人々が使ってきて、今なお人を引きつけるのは何故だろう、と手に取る。

先日、鎌倉宮の骨董市で買った皿。
江戸時代末期のものらしい。このくすんだ青が幕末の染付の特徴だという。
染付だがぼてっと柔らかい。磁器というより陶器の触感。
まあ焼きが甘いのだろうが、これはこれで温かみがあって気に入った。
傷があるのでなんと500円。気に入ったからいいのだ。

RIMG0291.JPG
この手の器を「くらわんか」というらしい。
今の関東で言えば、「食えねえか」というところか。
江戸時代、大阪の淀川を行き来する舟に近寄っては「くらわんか、くらわんか」と挑発的に呼んでは食べ物を売りつける舟が多数あって、枚方あたりの名物だったそうだ。
ここで使われる食器は、船上で乱暴に扱われるから丈夫に出来ていた。
それでこの手の器を「くらわんか」と呼んだりするそうだ。

実際この皿、特に底の部分がえらく分厚い。
それでなかなか割れないから、100年以上経った今の世にもしぶとく生き残ってるんだろう。
そのうち金継ぎでもやって傷を直してみようか。


この「くらわんか」の風景を描いたのが、歌川広重の「淀川」。
大きな船の客から、小舟の男が銭を受け取っている。腰は低いが突き出した腕はぶっきらぼう。
皿に食べ物をよそっている女。
まさにくらわんか舟の風景だ。
皿の藍と絵の藍が重なる。
この国には藍色の風が流れている・・・と、異人たちが表現したように、昔の日本の青い風が吹いてくるようだ。

800px-Hiroshige_A_ferry_on_the_river.jpg
タグ:骨董市
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